明日午前中、バーサンが退院ということで、
今夕、最後の食事介助に病院へ行った。
4人部屋の患者さんは女性のお歳よりばかり。でも、病状がそれぞれ違う。
入ってすぐの右、廊下側は、いつもカーテンがひかれ、中が見えない。
食事時には、息子か娘か中年ご夫婦が、お二人で食事介助に来られる。声がする。
その奥の窓際は看護師が呼びにきて車イスで食堂で食事する、小柄な円背の女性。
その向かい、入って左側の窓際は、ご夫君が食事介助に来られる。
流動食と言うのだろうか、おもゆと、ポタージュスープ様のおかず。
スプーンと、注射器みたいな器具で食べさせている。
認知症も(うちほどではないけれど)すこしある様子。
その隣、入って左の廊下側が、うちのバーサン。
ほとんど、わたしの顔も分からない。でも、独り言を陽気におしゃべりをしている。
極キザミのおかずに、おかゆ。ほうじ茶にはとろみをつけて、スプーンで口に運んでやる。
それぞれ、カーテンで仕切ってはあるけれど、そんなに完璧に締め切ってなく
とくに、うちは、部屋に出入りする人を見るもの刺激になっていいだろうと、
オムツ交換時のほかは、通路側のカーテンを閉めていない。
で、それぞれ会話は聞えるわけで・・・・・
今日は、お隣のご夫君が、お疲れ気味なのか、イライラしているようだった。
ふだんは、口は粗っぽいけれど、よくまあ、と思うくらい献身的に介護しているの。
でも、今日は、食べさせようとすると、患者さんが手をだすようで
「手を出さないで、ひっこめていろ」と、何度も声がして、
ついに、パチン!と、叩く音。「イタイッ!」と奥さんの声。
「そんな喰いたくなければ、食わせないぞ」と・・・・
ああ、我が身を見るようでした。
わたしも、したことあるもの。
苛々して、バーサンのとんちんかんな態度が耐えられなくて、むかっぱら。
叩かなくていい手を、パチンとしたこと、わたしもあります。
したあとで、自己嫌悪に陥るの。介護の地獄です。
見たくない、自分の中のいやらしさに向き合わざるを得ない。
きっと、ご主人、疲れておいでなのだと思った。
男性の看護師さんが、食堂で食べていた斜め向かいの方をベッドに戻しに来たけれど、
窓際の男性には声もかけず、様子も見ないで、病室を出ていってしまった。
で、こっちのバーサンの食事がおわったのを機会に、
薬を飲ませる前に食器を廊下に出しに行って、廊下にいた男性の看護師に耳打ち。
お節介かとおもったけれど、見逃しにはできなかったの。
「ご主人がだいぶお疲れの様子なので、声をかけてもらえませんか」と。
(本来なら、食事介助も看護師の仕事だと思うのだけれど)
第三者がはいることによって、少しの時間でも、介護者も楽になるのよね。
第三者に、要介護者についての愚痴を言う事で、すこしガス抜きできるし。
妻と自分の状態を、客観的に見る事も出来るようになるのね。
「病気のせいなんですよ。若い頃はこんなことなかったでしょ」と
看護師さんに説明をうけて、ご夫君も落ち着かれたようす。
よかった。
ほんとに、はたから見ていても、献身的なご夫君なんだけど。
こういうことって、あるのよね。