宮本輝『水のかたち』と、糖質制限

友達が「宮本輝って、どう?」と聞くので
「『泥の河』・『螢川』・『道頓堀川』の、川三部作とか、すきだったよ。
『錦繍』とか、『優駿』も。最近は読んでないけど…?」と答えたら
「これ、中に糖質制限もでてくるの」と、
『水のかたち』(集英社文庫、上下巻 )を貸してくれた。
彼女には、わたしが糖質制限をしてることを話してたから。

……ああ、そういえば、近頃読んでなかったな、と思いつつ紐解く。

主人公は50歳の主婦。
更年期に差し掛かって、姉とそんな話題も話してる。
50肩もあるらしい。息子二人に娘一人、夫もいる。
そんな、ふつうの主婦が、ひょんなことで、鼠志野を手にいれ
つぎつぎと連鎖式に幸運に巡り合って、人生も変わっていく話。
と言ったら身も蓋もないか。

ハッピーエンドで良きかな、よきかな。

糖質制限は、夫が糖尿病になりかかり、カロリー制限でうまくいかず
糖質制限で体調を回復していく様子が描かれていた。
この作品、初出の雑誌は、「エクラ」2007年10月号〜2012年7月号
わたしが糖質制限をはじめたのが2012年の正月で
ブームになってきたのが、そのあとだから、
この『水のかたち』では、ブームの前から取り上げてたんだ〜!
(ひょっとしたら、宮本輝さんが糖尿になりかけて、糖質制限してた?)

ハッピーエンドというか、「Promise of Happiness」幸せの約束、幸せの予感。
「お話」だからね。世の中そんなにうまくいかないよ、と思うのは下衆の考え。
きっと、どこかに、こんな風な、恵まれた人もいるんだろうな。
…と思っていた方が、夢があっていいじゃない?

障害者雇用の話も出てくるし
中高年の男性と、年の離れた若い女性の結婚話も出てくるし
終戦後(敗戦後)北鮮からの引き上げで、
漢気のある男性によって、百数十人の人々が船に乗って脱出する様子
ソ連軍が押し寄せてきた北鮮の、日本人たちの悲惨な様子とか……
ちゃんと描かれてる。

だけど、流れているのは、主人公の幸運。
子供達は、それぞれ問題もありながら、それぞれ成長してるし
夫は、妻のことを認め愛しながら(中に言い争いもあるけれど可愛いもの)
相談にのり見守っている? 応援してる? 理解してる? 理想的男性ですね、糖尿病でもww
妻の提案する食事制限をちゃんと守っているし……

穏やかな良い読み物を貸していただいたことで、読む機会を得ました。
作者の暖かな視線も、ラストの余韻も心地よいものでした。



描かれている世界、平安だよね。
主人公の女性が、骨董の見る目を持っていたとか、
周囲に力強い支援者がいるとか、
特にあくせくするほとお金に困っていないし、
子供達も、障碍もなく、それなりに育っているし
もちろん、夫はASD(発達障害スペクトラム)なんかじゃないし、
苦労しつつ、自営でやっているし、
実母も、まださほど介護を要するわけじゃなく
姉が面倒を見てくれているし
その姉との中も良さそうで、姉妹の確執とかなさそうだし……

お話、だからね。
如何様にも設定できるし、如何様にも書ける。

中年女のおとぎ話だね。
主人公も作中でいろいろ想像したり、妄想したりしてるけど
それが、現実化していく……
多分、主人公の、素直な性格によるのかなあ。

北鮮を脱出するときの漢気のある男性は、
気骨を持ってて、よく軍関係にしょっ引かれて喧嘩するけど、その喧嘩相手と仲良くなるし
敗戦後も朝鮮人と喧嘩しつつ、また仲良くなる能力があるとか。
主人公の女性も、なぜか、好意ある人たちが寄ってくる。
人格なのかなあ(あ、お話だから、如何様にも書けるんですけどね、
そこに文章力、説得力がないと、嘘っぽい話になって、読まれないからね。

あ、わたしは、宮本輝の文体に乗り、一気に読み上げましたが。
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by hidaneko | 2015-08-22 21:45 | ほ ん | Trackback
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