一晩中の吹き降りだった。
風は途切れることなく、びゅんびゅん吹き
大粒の雨がビシバシ窓を打った。
県内の100キロほど離れた村に、シゴトで行く用があった。
高速道路で小一時間。一般国道で約2時間。
プチ捻挫した右足首が大丈夫か気になった。
実は海沿いの一般国道は、わたしの大好きな道。
晴れていたら、気持ちのいい海岸道路だ。
でもこの嵐では、道は海水をかぶり、冠水するんじゃないかな。
田んぼの中を行く別の国道も並走しているけれど、
時間によって混雑するので所要時間が測れない。
公の交通機関を使う手も考えた。どれもアクセスが悪い。
電車は便が少なく、乗り継ぎの待ち時間込みで3時間もかかる。
高速バスを使うにしても田んぼの中の高速道路で下ろされてから、
どうする? 終点まで行って、そこからタクシーで戻る?
そんなことを、あれこれと、
シュミレーションして、モグと話していた。
それを聞いて、Gサンが「送っていくよ」と言った。
「向こうで3時間も待つことになるのよ」
「いいさ、近くの温泉にでもはいっているから」
ありがたいけど…ちょっと躊躇した。
ここ五、六年、長距離ドライブを一緒にしたことがないのだ。
どうも色々あって、二人のドライブは気まずい思いが絡む。
「お前はおれのトラウマだ」とまで言われたし。
それでも、行く気持ちになったのは良い兆候と
お言葉に甘えて、久々にGサンと長距離のドライブ。
朝小ぶりだった雨も出かけるころには上がったけれど、
海に沿った国道。風はめちゃくちゃ強く、波は車にかかるほど高い。
荒海に、ウミネコの集団が飛び交ってました。
シゴト先の会場まで送ってもらって、さて、帰り。
予定の時間に玄関先に出てみたら、駐車場に赤い顔のGサン。
「温泉でビールを飲んだら、さめなくて…」
…さっきパトカーと擦れ違って、どきどきしたよ」
Gサンは、自分でもお酒に強くないのは分かっているはずなのに…。
「どれくらい前に飲んだの?」
「1時間半くらいかなあ。350mlまで飲んでない。300位だよ」
「……」
帰り道は、わたしが運転して帰ってきましたことですよ。