近ごろのバーサンの口癖は
「墓参りにいって、帰りに何か美味しいものを食べよう。
お金はいっぱいもっているからだいじょうぶ」
朝起きたときも、昼寝のあとも、にこにこしながら、
「何かおいしいものを食べに行こうね」
なんでだろう。
元気だったときも、外食はほとんどしたことなかったのに。
出前もとらず、ひたすら、わたしの手料理だけだったのに。
それより、墓参りなんて、お盆のときだけだというのに。
春秋のお彼岸も、祥月命日も、お寺に行く習慣はなかったのに。
なぜ、今になって墓参りを言う?
連想して芋づる式に思い出したのは、
父の死後、母が毎朝お仏壇にお経をあげるということをきいて
「生きているうちに、もっと信心していたらよかったのに」
と言った異母姉のこと。
母はきつい人だったから、もっと仏心をもって父に接してほしかった…と
言いたかったのかもしれないけど。
介護の最中なんて生きている人の面倒をみるだけで精いっぱいなの。
介護をしたことのないあなたには分からないだろうけど
バーサンは毎日、朝には仏壇の花の水を換え、汲立ての水をそなえ
お茶を淹れ、おぶきさま(御仏供さま?)のご飯をあげていたのよ。
それで、8年前の正月三日の朝、仏様のお花とお水を両手にもって、
室内でシリモチ付いて腰椎圧迫骨折、それが原因で寝たきりになったの。
あらあら、こんなことを書くつもりじゃなかったの。
バーサンが、あまりに良いお顔をして
「美味しいものを食べに行こうよ。たまにはぜいたくしようよ」
と、胸をたたいていうのが、可愛いから・・・・書いておきたかっただけ。