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冬の星座

いさかいをした。
つまらないことでいさかいをした。




Gサンがややこしく、手間取るやりたかたをしていたので
長年の主婦の経験から、要領良くできるやりかたを伝えようとしただけなのに
まるで全人格を否定されたように言われてしまった。

家人の性格は心得ているから、言葉をえらんで丸く包んで言ったつもりなのに
おまえの言葉はトゲがある、ほらこんなに傷ついた、と傷口を拡げて見せる。
なんで、日本語が通じないんだろう。
わたしは、ただ、情報を伝えたかっただけなのに。なんで諍いになるのだろう。

ガス台を磨いた。鍋を磨いた。流しを磨いた。
古い台拭きを捨てて、新しい台拭きを出した。

バーサンを寝かそうと、着替えを手伝っていたら、
バーサンが、わたしの頬を指先でなでて、
「ほくろ、消えないね」と、つぶやいた。
水仕事をしなくなったバーサンの指は、赤ちゃんのように柔らかく、
こんなに優しく頬にふれられたのは久しぶりだ、と思った。
あふれそうな涙が、バーサンに見えたのだろうか。

買い忘れていたパッドを買いに、十時までやっているドラッグストアへ行った。
今日は風が強く、あちこちで自転車が、ばたばた倒れている。

空に、雲が早く流れているのが見えた。
雲の無いところ、茄子紺の空に、星が見えた。
冬の星座。風が強いせいか、瞬いて見える。
地球が水の星だということが、よくわかる。
雲は、白くやわらかく、地球をつつむ、おふとんのようだ。

瞬いて見える星、あれは何億光年かの間をへだてて、じかに、わたしと向きあっている。
何もない真空の、暗黒の空間をへだてて、それでも、光がとどいている。
いまのわたし、何億光年か前に輝いた星の光、今夜であった。
by hidaneko | 2004-12-05 21:29 | きせつ | Trackback | Comments(0)


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