「つばさものがたり」を読んだ。

珍しく、本当に珍しく、Gサンが図書館から借りていた本を
「これ、ギリギリ面白い。参考になるかも……」
と、手渡して(じゃない、机の上に置いておいて)くれた。
彼は図書館に日参してるけど、本を紹介してくれたのは、初めてじゃないかな?

つばさものがたり

雫井 脩介/小学館

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ふつうに面白かったけど、大事な部分で設定ミスがあって、嘘っぽくなってしまった。
ネタバレになるので、あとは「 More 」で。

Gサンには「設定にミスがあって乗れなかった」とは言わないで
「面白かったです」と伝えて、ありがとうと言って返したけど。

代わりに、友達に借りて読んで面白かった「黒幕のゲルニカ」原田マハを貸してあげた。




兄貴の息子が、天使がみえてもいいのよ。翼のある子とお友達になってもいいの、それが大人から見えなくても構わない。

その天使が、妖精と天使の間に生まれた子で(どっちが父でどっちが母か忘れた)とか、そういうのは、受け入れられるの。天使は飛べるけど、妖精は飛べない、で飛べるようにテストがあって頑張る……とか、わたしは受け入れられる。お話だから。スポーツジムのトレーナーである兄貴の指導法も、見えない相手ながら、リアリティがあって面白い。

だけど、妹が洋菓子店に勤めてて、乳がんが3年目に再発して、抗がん治療で副作用の吐き気や味覚障害が出て……って、ここまではいい。つらい設定だけどね。
まえに、初めてガンになった時、店主のオーナー・パティシエにだけは打ち明けていたが(保険の関係で知られるから)、副作用を抑えて仕事をしていた、とか。かなり設定に無理がある気がする。

とくに、再発した時、元同僚が独立するのに誘われたけど断って、故郷に帰り、自分で店を開く……って、これはうけいれられなかった。設定に無理がありすぎ。

吐き気に加えて、味覚障害があるひとにケーキが作れるはずがない。これまで作っていたものを、同じレシピでその通りなぞることは、百歩譲ってできたとしても(だから読みながら「新規開店する元同僚を手伝うのかなあ、それならできそう」と思った)、けど新しいケーキを開発するのは無理。無理がありすぎ。自分の店を持ち、店の休みの日に東京へ行って点滴を受けて、日帰りし、翌日の営業日にはケーキ作りの仕事をしていた、って現実感がなさすぎ。
大きな虚構(小説)は、細部のリアリティで支えられるのに。

友達に、乳がんが再発して、抗がん剤でヘロヘロになって病院から帰ってきても家でベッドにもぐりこみ、なんとか子供たちの食事を作ろうと思っても味も分からなくて作られなくて、コンビニ弁当にしてもらった……という人の話を聞いたことがあるから。

だけど、「パティシエールの女主人公がガンの再発で故郷に帰り、家族の手伝い協力を得て、新しいお店をやっていく」というのがキモの話だから、この設定が嘘っぽいと、お話自体成立しない、というか、嘘になって瓦解しちゃうのよね〜。

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by hidaneko | 2017-05-15 20:07 | ほ ん | Trackback | Comments(0)
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