ニャンコ頭で考える・ほぼ日「福島第一原子力発電所へ」

わたし、ニャンコ頭だから、難しいことはわからない。
理論的じゃなく、どちらかというと、感覚的に判断してしまう悪い癖がある。
それで……知ってから、ずっと考えていたのだけれど、
どうしても、気持ちがギクシャクするところがあって、
自分の気持ちをまとめるために、忘備録的に書いてみる。

3月11日に、ツイッターで、ほぼ日さんがつぶやいていたので、見に行ったのだ。
「ほぼ日刊イトイ新聞の記事」、「福島第一原子力発電所へ

記事は写真も多く、現場で働く人たちの様子が描かれていた。「いま、福島第一原子力発電所では、1日に7千人が働いている。誰も立ち入れない死の場所ではないし、あの日から時間が止まったまま、というような風景でもない。」という。
全体に明るい雰囲気を感じたのだけれど、読みながら、心が軋み、いくつかの「?」マークがわたしの頭の中で点滅していた。

中島みゆき「忘れてはいけない」のフレーズが浮かぶ。
   ♪泥だらけのクエッションマーク心の中にひとつ
    なまぬるい指でなだめられて消える〜♪
この、ほぼ日の今回の記事は、
まるで、「?マーク」を消そうとする「なまぬるい指」のような気がした。

書き出したら、長くなったので、「More」にした。
(引用文のアンダーラインは、ひだまりねこによる)



ひとつには、取材したのが2015年11月5日だというのに、この記事がアップされたのは2016年3月だということ。なぜ、行ってすぐに記事にしなかったのだろう。
ほぼ日のスタッフ、じゃなかった乗組員は、わたしみたいな猫頭と違って、記事にまとめるのも速いと思う。いつも東北のことを気にかけているのなら、取材して記事をまとめた時点ですぐアップしていいはず。それをわざわざ寝かせ、「あの日」から5年経った記念日にぶつけてアップということ。なんの意図で? 
わたしの頭の中に「?」マークが点灯した。


見学に行った人たちはバスに乗って見て回るのだけれど、「ふと窓の向こうに見える外の線量計を見たら、「2.3マイクロシーベルト毎時」だった。低い、とぼくは思った。」とある。記者は2011年の高校野球の取材もしてて、そのとき「「3.8マイクロシーベルト毎時」を超えた場合、試合は中止される、という決まりだった。」という。

この、「3.8マイクロシーベルト」が、ひだねこは気になった。どういう数字だろう。調べた。文科省のサイトに行き着いた。
毎時3.8マイクロシーベルト(1年間365日毎日8時間校庭に立ち、残りの16時間は同じ校庭の上の木造家屋で過ごす、という現実的にはあり得ない安全側に立った仮説に基づいた場合に、年間20ミリシーベルトに相当)の空間線量率を校舎・校庭等の利用判断における暫定的な目安とし、校庭等の空間線量率がこれ以上の学校等では、校庭等での活動を1日当たり1時間程度にするなど、学校の内外での屋外活動をなるべく制限することを求めています。

そこで「年間20ミリシーベルト」に引っかかった。で、また調べた。(実際には「20ミリシーベルト」でググったんだけどね)。「小出裕章(京大助教)非公式まとめ」がヒットした。
部分引用
ニュース・コメンタリー (2011年05月07日)
子供に年間20mSvは許されるのか
解説:小出裕章氏(京都大学原子炉実験所助教)

 政府の原子力災害対策本部は4月19日、福島県内の学校や校庭利用の際の年間被曝線量の上限を20ミリシーベルトに定めたことが問題となっている。
 もともと20ミリシーベルトは、原子力の施設で働く作業員を対象とする年間被曝量の上限値だったが、これを子供に適用する決定については、依然として多くの抗議や反対が表明されているほか、この決定をめぐり、小佐古敏荘内閣官房参与が辞意を表明したり、原子力安全委員会が正式な委員会を開かずにこの基準を決定していることが明らかになるなど、決定の過程にも多くの疑問が生じている。
 京都大学原子炉実験所の小出裕章助教は、もともと一般の日本人の年間の被爆上限は元々1ミリシーベルトまでと定められているにもかかわらず、ぞれを現状に合わせるかのように20ミリシーベルトまで場当たり的に引き上げ、しかも子供にまでそれを適用するというのは到底許せないと述べる。

小出先生部分の要約
・(20mSvを子供に適用することについての意見は?)私はやってはいけないと思う。日本では普通の人は年間1mSvという基準があるのに、突然20mSvにするのは、20倍まで危険を我慢しろという意味。しかもこどもは大人の5倍くらい放射線の感受性が高い。到底許しがたい。

ほぼ日の記事の「3.8マイクロシーベルト」というのは「年間に20ミリシーベルト」と文科省のサイトにあった数値で、普通の人の20倍。

病院に行くとレントゲン室の前などに「関係者以外立ち入り禁止」と必ず書いてある。「放射線管理区域」というものだ。そこで、また「放射線管理区域」でググってみた。ウィキなどでもあったけれど、わたしが知りたかったのは、こちら に書いてあった。
Q. 放射線管理区域とは何か?
2011-07-16
A. 外部放射線に係る線量については、実効線量が3か月あたり1.3mSvを超えるおそれのある区域を指す。「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」などで定められている。毎時に換算すると、0.59μSv/hである。
参考:放射線管理区域 – Wikipedia
参考:管理区域 – ATOMICA -
放射線管理区域とは、私(=小出裕章先生)のような特殊な仕事の人間がどうしても仕事の都合で入らなければいけないような場所。水を飲んではいけない、食べてもいけない。そこで寝てもいけない。タバコを吸ってもいけない。子供を連れ込んではいけない。それが放射線管理区域。
出典:2011年3月31日 岩上安身氏によるインタビュー 小出裕章 ≪ 小出裕章 (京大助教) 非公式まとめ


引用ばかりでごめんなさい。
ひだまりねこは、自分が持っている知識が少ないので、ググって、引用してます。引用したのを、ひだまりねこ的にまとめると……
ほぼ日の記事で「2.3マイクロシーベルト毎時」を「低いと思った」と書いてるのは、3.8マイクロシーベルトと比べて。「高校野球の試合ができるレベルかどうか」と書いてるけど、その値って通常なら原子力作業員の年間の上限。政府が非常時だからと勝手に決めた数値だ。
こんなこと、ニャンコ頭のひだまりねこが引用を多用して書かなくても、ほぼ日のスタッフは知ってると思う。それでも、「低いと思った」と書いて、読者に読ませてる。なぜ? 
わたしの中に「?」マークがつく。


記事の中に、「現在、7~8千人ほどですが、そのうち半数がにあたる3~4千人が、 『土木と建築の分野』で働いています。」とある。でも、下請けの下請け、さらに下請けの人たち、例えば日雇いとか、ホームレスの人たちとか、まるで使い捨てのようにされている労働者がどれくらい、とは書かれてなかった。まるでそういう人たちはいないかのように。
わたしの中に「?」マークがつく。


「不幸中の幸い」、「最悪の事態に至らずにすんだ3つの偶然がある」とも書いてある。
「ひとつは、福島第一原子力発電所が、「発電所としてはとても広かった」ということだ。それで、一時的なものや、正式なものも含めて、たくさんのタンクや廃棄物を置くことができた。」
「そのふたつ目は、福島第一原子力発電所に「免震重要棟」、いわゆる「免震棟」があったことである。
そして、「3つの偶然」の最後が、
ぼくらが視察の前に説明を受けたトレーニング施設、「Jヴィレッジ」の存在である。Jヴィレッジは述べたように、福島第一原子力発電所から20キロ離れた場所にあり、十分な広さもあったため、人員の駐留や物資のプールなど、事故対応におけるとても重要な拠点となった。」

まるで、「世界で最悪の原発事故」と言われている福島原発の事故が「最悪の事態」ではなかった、と言っているのと同じ。まあ、原発が爆発したのと比べたら、メルトダウンも「最悪」ではないのかもしれないけど。でも、この言葉で、福島が大したことないような印象を読む人に与える。(というか、わたしは受け取った)

じゃあ、福島ほど敷地が広くなく、免震棟もなく、近くにJヴレッジもない原発はどうなるんだ?
 そういう原発が再稼動されようとしてる……。
わたしの中に「?」マークがつく。


「福島の人たちに対して、東京電力の社員は、さまざまな活動を通して、できる限りのお手伝いをしようとしているそうだ。」と、家の片付けや墓掃除、雪かきを紹介してる。
でも、東京電力に怒っている人は多いと聞く。家や仕事、友達、故郷をすてて避難しなくてはならなかった多くの人たちのこと。保証がされない、金額が少ない、打ち切られる…。
それは東電のことで、福島原発の現場の人がやっている作業とは違う分野かもしれない、でも同じ会社のことだ。
なぜ、こういう書き方ができるのか。わたしの中に「?」マークがついた。

ツイッターで、わたしと同じように、この記事に違和感を持った人がいた。
この記事は免震棟の重要性に触れている。現在唯一稼働中の川内原発には免震棟がなく、再稼働の条件だった免震棟新設を九電が反故にしてしまったことには、当然触れない。その事実ひとつで、これが読者のためにかかれたものではないことがわかる。http://www.1101.com/fukushima/2016/index.html …

カルトだと思う。あの記事は一体誰に向けて書いているのか。何故"今"あの記事を書くのか。タイアップじゃないなら、なんの使命感なのか。軽やかに和やかにそれと感じさせない広告は彼の得意技。福島原発の現場ですらその対象となったことに震撼する。

現場を見る、という時に国民健康保険に未加入の人が10%だという名もなき除染作業員の人に話を聞くのではない。東京電力の人に話を聞く。その人が個人的なメールを送ってきた、と前置きしてから。それが彼のスタイル。スマート。


これを読んで「ああ、違和感を持ったのは、わたしだけじゃなかったんだ」と思った。
「記事広(きじこう)」という言葉がある。「記事体広告」の略語だ。
記事広とは、広告の一種で、媒体の通常の記事と同様の構成・体裁で編集された広告のことである。
記事広は、広告主が制作費を払って媒体の記事風に編集させ、通常の記事と違和感のない形で掲載される。通常の広告に比べて広告に対する抵抗感が薄れるため、より広告効果が得やすいとされる。

ほぼ日は、制作費をもらっているのかないのか、わたしは知らない。
けれど、東電によりそった記事だな、と思った。
書いたのは糸井氏じゃなく、永田さんだと書いてあった。でも「ほぼ日」に掲載される記事に糸井氏は責任者として目を通しているはずだし、彼の思いから外れた記事でない、ということだ。
そういえば、「提灯記事」という単語もある。

記事のラスト、ススキの原がきれいだと、写真を何枚もアップしてるけど、そこは人が住めない土地だから、人が入れないほど汚染されている土地だから、ススキがはびこっている、ということでしょう? 
汚染されている土地をきれいだという感覚、「?」マークです。


     ・     ・     ・     ・

2016年3月14日:追記

今日、こんな記事に出会った。
るいネット。東電の非公開資料の存在が判明!事故が起きる3年前に東電社内で15メートル級の津波を試算!津波の危険性を事前に把握!

「るいネット」って、時々ガセもあるから、あまり信用してないんだけど。
リンク先を辿ったら、TBS NEWSのサイトだった。
「2008年「15m超津波試算」 東電 非公開の内部資料入手」(こちら
以下引用

11日で5年を迎える東京電力・福島第一原発の事故。JNNは、事故が起きる3年前に、東電社内で「15.7メートルの津波」が来ると試算していた非公開の内部資料を入手しました。

 東電の旧経営陣3人は先月、大津波が予見できたにもかかわらず、注意義務を怠り、原発事故を引き起こしたなどとして、業務上過失致死傷の罪で強制起訴されました。

 東電は、これまで大津波を「想定外だった」などと説明していますが、JNNは、事故が起きる3年前の2008年に、「高さ15.7メートル」の津波が来るという試算結果が記された東電の内部資料を入手しました。津波のシミュレーションも記されています。また、職員向けの資料には「津波対策は不可避」とも記されていました。

 Q.津波の想定はされていたのに対策を取らなかったのでは?
 「これから裁判になりますので、意見を申し上げるのは控えたいと思います」(試算の報告を受けていた 東京電力 武藤栄元副社長 7日)

 東電は、「社内で検討する目的で作成された一資料」としています。今夜のNEWS23スペシャルで、さらに詳しくお伝えします。(10日11:02)引用ここまで


わたしは、10日のNEWS23は見なかったけど。
「津波が想定外だった」というのは、嘘だったということだ。
対処しようと思えばできたはず。経費がかかるとかで対処しなかった?

ほぼ日の永田氏が「津波さえなかったら」と書いていたけど
「津波が来ても大丈夫な対応をしていたら」というのが実際だし
「そもそも、原発がなければ」と、やっぱり思ってしまうわたし。
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by hidaneko | 2016-03-13 20:40 | Trackback | Comments(2)
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Commented by y_csm521 at 2016-03-13 23:30
ひさしぶりにこちらにコメント。わたしはfaebookであの、ほぼ日の記事が流れてきて、やはり読んでいていやぁ~な感じがどんどんしてきた。明らかに原発推進の立場で書いている記事なら、それなりの覚悟で読むからある意味危険度が低い。でもこれは、なんだか良い話しのような、美談のような・・・なんとなくあったかい話しのようなものがちりばめられていて、何も考えずに読んだら「なんだ、そんなにひどい状況じゃないんだ」って思ってしまいそう。特に、「2.3マイクロシーベルト毎時」低いと思った、というところ、はぁ??それはただ、慣らされただけでしょう?そういうことこそ、丁寧に感じなくてはならないのに・・。
自分の反応がひだねこさんとあまりにも同じ感覚だったので、思わず長々コメントしてしまった^^;
変だと思ったことは、「変だ」と口に出そう!改めてそう思いました^^
Commented by hidaneko at 2016-03-13 23:38
>COSMOSさん

コメント、ありがとうございます。
ほぼ日、結構読んでいる人が多いし、糸井重里氏ってやはりかなりの影響力のある人だと思います。その人が、ああいう書き方をするのって、やっぱり一言書かずにいられなかったのです。
共感していただいて、ほっとしました。
違和感を持ったのはわたしだけじゃないのだ、って。


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