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食べ物文化圏

紺色の表紙の、小さなスケッチブックがある。
表紙を結ぶ紐もほつれかけ、中の紙も黄ばんでシミだらけ。
なにしろ結婚前から持っているのだもの。
中身は、絵入りのレシピ。
稲荷寿司や人参サラダ、ラッキョの漬け方、ドーナッツなど…。

ふだんの料理は、だいたい目分量で作るようになっているけれど、
年に一度、暮れには決まって取りだすのだ。
家人とひだねこ、それぞれの里の、お正月用料理の材料が書いてあるから。
家人は隣県の山間部の生まれ、ひだねこは海岸部の生まれ。
正月の祝い魚も違う。
フォッサマグナを境に、家人は鰤文化圏、ひだねこは鮭文化圏。

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【山里の雑煮】          【海里の雑煮】
:フキ               :大根
:筍(ササダケと言われる細い竹の子):ささがきごぼう
:油揚げ              :油揚げ
:鶏肉               :鮭
:ネギ               :かまぼこ
:香り野菜はミツバ         :こんにゃく
                  :焼き豆腐
                  :打ち豆
                  :ネギ
                  :香り野菜はセリ
                  :好みで、ととまめ

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東京で結婚したとき、メモしたものだ。
とにかく、ひだねこの里の雑煮は具が多い。
どちらも醤油味だけど、鶏と鮭。ミツバとセリの違いは大きい。
山里は焼き餅。海里は煮餅。
こちらでは、餅を煮るとき、鍋にくっつかないように下に敷く、
竹であんだ網も売られているくらいだ。

鰤文化圏では、ごちそうの魚は鰤。
結婚してはじめての正月、山へ行ったとき、
家人は街で一本、大きな鰤を買って、意気揚々とぶら下げて帰ったものだった。
さばいて、焼いたり、刺し身にしたり・・・・なくてはならない祝い魚だという。

対して、こっちは鮭文化圏。
頭からシッポまで、鮭の食べ方なら知っている。
焼き物は「塩引き鮭」に決まっている。身が赤いのも祝いにふさわしい。
カマのところ、一のヒレは、家長のためのもの。
(んが、ひだねこんちでは、家長は面倒くさがって敬遠する。
 んで、魚の食べ方上手のモグが、にこにこ丁寧に賞味するというわけだ)

中骨もこぶ巻きの芯にして、やわらかく煮て食す。
鼻先の軟骨は「氷頭(ひず)」と称して珍味に数えられる。
うすく切って酢につけ、半透明になったところを、大根おろしのなますに入れる。
腹子をほぐしたイクラは「ととまめ(魚豆)」といって、
これも雑煮に入れたり、なますに入れたり。なくてはならない。

どこで折り合いをつけるか・・・・・
どちらも、正月くらい里の味を楽しみたい。
で、一日おきにつくることにした。
これは、今でもつづいていて、元旦は、バーサン好みの雑煮だったから、
2日目の今日は、家人好み、鶏肉入りの雑煮をこしらえたわけだ。

煮物も、山里と海里では違う。
材料はにているけど、海では「のっぺ」で小さく、短冊なのに対し
山里は、材料をなんでも大振りに切る。
暮れに海里風「のっぺ」を作ったので、元旦は山里風「煮しめ」をこしらえる。

材料は、フキ、タケノコ、人参、大根、ゴボウ、里芋、干椎茸、こんにゃく、そして豆腐。
これも、紺色のスケッチブックのレシピにメモしてあるというわけだ。



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コメント一覧

1. ひだまりねこ 2005年01月03日 00:03

今夜は鍋でもしようかと思っていたら、モグちゃんが、
「わたし、あした出かけるから、今日するわ」と言ってくれたの。
月曜日はいつも、モグが作ってくれる日なんだ。
正月で、つい、曜日をわすれてました。

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2. ぼやっきー 2005年01月03日 23:21

いいなぁ
なんだか ホカホカ家庭のお茶の間に 一員として座っている気分ですw

すごく 暖かい お正月ならではの 独特の雰囲気の中で
日常の出来事が 読むものにもビシビシ伝わってきて

私も ここみたいな雰囲気の日記でもつけるかなぁ
いあや ムリです 私にはw

そうそう ひだねこさま
私 魚料理 割と出来るつもりなのですが
氷頭ナマスが 苦手なんです 一度居酒屋で とてつもなく
まずい物を食わされてから だめになってますw

私が一番好きなのは 頭の部分で言えば エラのところの
ほっぺの部分のお肉が一番 うまいと思います
マグロのカマも好きですが 鮭のほっぺたの部分が
ひらめの縁側よりも好きです。 好きでいうなら
鮭の皮も大好きです カリカリに焼いて 手でばらし
お茶漬けにすると最高です 

人の日記にコレだけのレスする馬鹿も珍しいですね
すみません 腹がへってきたので 餅食ってねます

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3. ひだまりねこ 2005年01月04日 00:39

>ぼやっきーさん
>人の日記にコレだけのレスする馬鹿も珍しいですね

どうぞ、どうぞ。掲示板じゃないけど、どんどん書込んでください。
話題がひろがって、おもしろいもの。
あ、ぼやっきーさんだけじゃなくて、ROMのお方もどんどんどうぞ。

>ほっぺの部分のお肉
>鮭の皮も大好きです

通ですねえ。お魚好きなんだ〜♪
ほっぺって、骨の間の、ぽこっと取れるところね。
えーと、鮭もいいけど、カワハギ、ウマヅラハギのほっぺや、
こっちでクチボソと呼ぶマガレイの煮付のほっぺ。せせって食べるのがすきです。
http://www.pipi.org/umaimono/umai/suisan/kare.html(クチボソの説明はこちら)

鮭の皮の美味しさをご存知とはただ者じゃないですね。
こっちの言い方で「鮭の皮なら一反でも食べられる」というのがあるんですよ。(^○^)
美味しいものの味を知っているひとって、だいすき。
by hidaneko | 2005-01-02 00:54 | くらし | Trackback | Comments(0)


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