もうちょっと考えてみたい…都青少年健全育成条例のこと

ほんとうは、もっと早く意見をアップしたかったのだけれど、バーサンのことなど色々忙しくて、遅れてしまいました…。

モグが、めずらしくニュースの問題を問いかけてきたのは3日前のこと。
東京都で審議されていた「青少年健全育成条例改正案」のこと。
TVニュースでやっているから、って録画して。

このことは、わたしも関心を持っていた。もちろん、わたしは都民じゃないけど、都で条例が制定されれば、前例として全国に広がることが予測される。モグは、同人としてコミケ(コミックマーケット)に参加している友人のことを話していた。

あ、だからといって、わたしもモグも、児童ポルノに賛成とか言うんじゃありませんよ。レイプなど女性を物扱いしたり人権蹂躙だと眉をひそめるものや、子どもに見せたくないと思うもの、唾棄すべきものなど、世の中には沢山あると思う。
でも、だからといって、作品の検閲が許されることではないと思う。出版界の自浄努力を期待したい。子どもに見せたくなかったら、テレビでも漫画でも、親が見せないようにすればいい。
なんびとも表現の自由を侵してはならない。また、表現者も表現についてくる責任を自覚すべきだと思う。
「非現実青少年」ってくくりも変。非現実の世界のことを現実の法律で取り締まろうと言うのは矛盾してる。都知事が同性愛者に対して差別的発言をしているのも眉をひそめる。個人の嗜好や性愛は自由であるもの。都知事という公的立場にある人がこういう発言をすることも問題だ。

都青少年条例改正案について、ちばてつやさんや、こち亀の秋本治さんら著名漫画家さんたちも反対表明をした。こちら

角川や講談社など出版10社も国際アニメフェアへの参加を拒否すると声明をだした。こちら

それが、15日、都議会で賛成多数で成立したと言う。ほんとうはもっと問題になってもよいとおもうのだけれど、「青少年の健全育成のために」という錦の御旗のために、「いいんじゃない?」と思われている節もある。(ちょうどそのころ、シュリンプ蔵さんの傷害事件がニュースをにぎわしていたし、ね)。

たかが漫画、と思われるかも知れないけれど、表現の自由を妨げる検閲が問題なの。だれが、どう判断を下すのか。線引きはどこでつけるのか。「第三者的機関」が決めると言っても、そのメンバーを決めるのは誰? どういう基準で選ぶの? お上の都合のよい考えの人を選ぶのはよくあること。
法律や条例はいったんできると、独り歩きする。特に今回の都の条例みたいに曖昧なところがあるものは、後でいかようにも解釈されて適用されていくことがあるから。言論の弾圧につながらないと誰が保証できるの?

いま、漫画アニメなどの表現は、大手出版社や映画会社テレビ局だけのものではなくなってきている。コミケのひとり同人誌や自費出版、さらにネットの世界にはだれでも自由にアップできるし、自己表現できる。だから・・・・アブナイものも多くあるだろう。浜の真砂ほどもあるそれらにどう網をかけようとしてくるか・・・・モグラ叩きのようにつぶしてもまた出てくる雑魚じゃなく、もっと社会的評価のあるインパクトのあるやつを強く取り締まる(因縁着けて血祭りに上げる)・・・なんてことの無いよう、祈ってる。

まだ考え途中だけれど、ひだまりねこも、対岸の火事と傍観できなくて、ちょっと意見表明してみました。




【注】文中のアンダーラインは、ひだねこが引きました】
「まんが最前線・インタビュー 2010/05/01」より引用
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「非実在青少年」規制に関して作家・川端裕人さんに聞く

 18歳未満に見えるマンガやアニメのキャラクターを「非実在青少年」とし、「非実在青少年」を「みだりに性的対象として肯定的に描写することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがある」雑誌や単行本を「不健全な図書類等の販売等の規制」に加えるという東京都の青少年健全育成条例改正の賛否をめぐっての議論が活発である。3月都議会で予定されていた改正案の審議は6月都議会に延期されたが、大阪府などでも同様の条例案が出るなど「表現規制」への動きは逆に強まっているようだ。
 一方で、規制賛成派、反対派の議論はどうもかみ合っていないように思われる。問題点の腑分けが必要ではないか、と考えた我々は、作家であり、ご自身の子どものPTA活動に関わり『PTA再活用論 ──悩ましき現実を超えて』(中公新書ラクレ)などの著書もある川端裕人さんにインタビューをお願いした。

――今回の都条例改正については、表現者でありPTAにも関わってきた川端さんはどのようにお考えですか?

川端 健全育成条例をよく読めば、今の条例でもちゃんと規制することができるんです。すでに規制されているものの上に、さらに特定のジャンルを指定して規制の網をかける目的がはっきりしませんね。それをきっかけにして、ある特定の分野に厳しい目を向けるぞ、という決意表明なんですかね。条例改正案をつくろうとしている人の意図がよくわかりません。

――今回の問題に関して言うと、表現者側からは「表現の自由を守れ」というのは聞こえてきますが、「表現者の責任」という声があまり聞こえません。

川端 日本人は表現の自由を手にしてまだ歴史が浅く、権利を守ることに精一杯だった、と言う事もあると思います。また、発言のメディアが、出版社経由・新聞社経由しかなかったので、そういったメディアがオーケイかどうかフィルターをかける形があった。でも、今のようにネットを通じて誰もが表現者になれる時代になると、誰もが責任を問われる可能性がある。今回の条例改正問題はそういう課題を我々に突きつけているのかもしれませんね。

――新聞などを読んでいると、東京都小学校PTA協議会(以下・都小P)が保護者を代表して条例改正を強く推進していて、表現の自由を求めるマンガ家と保護者の間に対立構造があるように語られています。

川端 都小Pというと、名前としては東京都のPTAを代表しているように聞こえますよね。でも、保護者は自分が都小Pに入っているかどうかも知らない方が普通です。自分の学校のPTAに入ること自体、自動的になることが多いですし、ましてや、PTA会費から市区町村のPTA連合や、都小Pに少しずつ会費が納められているなんて、PTA役員をやった人でないとなかなか把握していないと思います。なので、保護者の参画意識はほとんどありません。そう言う意味で、都小P=東京都の保護者代表とされてしまうのは、困ったことです。現役のマンガ家さんの中にもお子さんがいて、PTAに参加されている方がたくさんいらっしゃいますが、その方たちも改正に賛成されているでしょうか。ぼくの子どもの学校でも、過激なマンガが保護者会や学級PTAで問題になったなんて話は全く耳にしません。ほとんどのPTA会員が条例改正についても知らないかもしれませんよ。

――PTA会員の合議で決まったのではないのですか?

川端 保護者会員が全員が集まって意見交換をするというようなことはないですね。PTA役員は区町村のレベルで会合を持つことがあるし、そこから出た代表者は都小Pで会合を持ちます。ちなみにこの代表者はたいてい区町村のPTAのOBで、現役の保護者ではないんですよ。そういった人たちが幹部になって話し合うわけですが、その内容が個々の現場にフィードバックされて、保護者会員が吟味するなんてことは、事実上ないです。知らないところで束ねられて、知らないところで「PTAの意見」が一人歩きしている。そういう制度的な欠陥が今回は出てしまった、と言えるかもしれませんね。しかも、都小Pの場合はすべての市区町村のPTAが参加しているわけではない、という特殊事情もあります。構成員は23区のうちのせいぜい5区くらいと、都下の1村、島嶼部の4島なんです。今回の問題は、「表現者対都小P」という対立構造で見るのならわかるのですが、「表現者対一般保護者」と見るのはおかしいです。

――マンガは伝統的にPTAや親御さんから「子どもが勉強しなくなる」「マンガの真似をして困る」と言われ続けてきましたね。

川端 確かに、子どもを無菌状態で育てたいとか、あるいは、それが可能であると考える人たちがどの時代にもいるのかもしれません。「環境浄化運動」って、すごく字面が恐い活動が、PTAの連合体では伝統的に行われてきていて、それこそ手塚治虫さんたちのマンガを悪書として校庭で焼いた時代もありました。「子どもを守れ」という主張は一種の切り札なんですね。子どものため、と言われると反対をしにくくなる。ところが守るべきとされるのは、18歳未満という漠然とした「子ども」であって、小学生も高校生も一緒くたにしている。小学生と高校生じゃあ、方法も目的も変わって当然でしょう。小学生に関していえば、子どもに見せたくないものは親がきちんと選べばいい。ただ、そのためのレーティングだけは、はっきりしてもらいたいのです。小学校の娘と映画のDVDを見ていても、「まだこの子には早いだろう」っていう性的な描写のシーンが出てきて「あー、ちょっと待ったー」なんてこともある(笑)。

川端さんのお話を聞いて、複雑に絡み合った問題の本質が少し見えてきたような気がする。都条例や表現規制の問題は、マンガ産業のいく末にも関わるので、これからもチャンスを見て取材を進めていきたいと思う。

川端裕人(かわばた・ひろと)
●1964年、兵庫県生まれ。95年、日本テレビの記者として南極海の捕鯨調査船に乗船した体験を元に書いた『クジラを捕って、考えた』でノンフィクション作家としてデビュー。98年、小説『夏のロケット』で第15回サントリーミステリー大賞を受賞。少年たちの川をめぐる物語『川の名前』、自身のPTA活動を元にしたノンフィクション『PTA再活用論 ──悩ましき現実を超えて』など、ジャンルを問わず多くの著作がある。


■ 題は、思ったよりもっと複雑みたい。■

以下<「まんが最前線・インタビュー 2010/12/15」より引用

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東京都「青少年健全育成条例改正案」可決! 
日本雑誌協会編集倫理委員長 山了吉さんインタビュー


2010年6月の東京都議会で否決された「東京都青少年健全育成条例改正案」が、12月議会に再提出され15日に可決された。前回問題になった「非実在青少年」という表現にかえて、今回の修正では、「刑罰法規に触れる性行為や近親婚、強姦などを不当に賛美・誇張」するマンガやアニメの描写を販売規制するという表現が使われ、マンガ家や出版社は曖昧すぎ表現規制につながる、と一斉に反発していた。都議会での議論が進められている最中の12月7日、この問題に出版界を代表して取り組んできた小学館取締役で(社)日本雑誌協会編集倫理委員長の山了吉さんにお話をうかがった。

――コミックを出版する10社が、都が主催する「東京国際アニメーションフェア」への参加取りやめを表明するなど、出版社が大変な反発をみせていますね。

山 これまでに何度も条例の改正、規制の強化は行われているのですが、事前に何度も話し合いをして、「ここは出版社の自主規制で」というような形で、折り合ってきたのです。ところが、今回の改正案はいきなり頭越しに出てきました。一方的に改正ありきだったのです。

――そこまで都が強引なのはどうしてなのですか。

山 実は、その前に東京都治安対策本部に出向してきている警察官僚の人事異動がありました。それ以降、従来の「相談しながら決めていく」ことが通用しなくなったのです。現在の都治安対策本部のキャリア官僚は、国会で廃案になった児童ポルノ法改正案へのリベンジと考えています。単純所持禁止も含めた規制によって児童に関する治安維持を図ろうとしてきたキャリア官僚にとって、国でできなかったことを都でやったということになれば、警察に戻ったときに道が開けるわけです。逆に改正案を通さなければ、戻ったときに評価されなくなってしまう。そういうことだと思います。児童ポルノ取締先進国になる、というのは警察の悲願なんです。「治安対策本部」がその任にあたっている。そのことが何よりもその意図、狙いを示しているのです。

――子どもたちを守れ、といいますが、それほど日本は酷い状態なのですか?

山 日本には児童ポルノがあふれているように言われていますけど、ドイツやオランダに比べれば極めて少ない。青少年が被害者になる性犯罪にいたっては、最盛期の2.6%にまで下がっているんです。ここ10年くらいのデータでもずっと下がり続けています。諸外国からも「日本ノはなぜ性犯罪が少ないのか」「非行が少ないのか」と注目されています。そんな状態でなぜ東京都が規制強化を打ち出したのか、と言えば、国のできなかった児童ポルノ法を、都が引き継いで条例で成功させて、それをもう一度国にフィードバックさせるのが狙いなのではないでしょうか。

――6月に一度否決されたものが生き返ってきたのですが、6月の時点とは何が変化したのですか。

山 6月に否決された後、都青少年課と東京都小学校PTAの幹部の方は、都議の選挙区72ヵ所を回って、キャンペーンを展開しているんです。これが一番効果がありました。我々やマンガ家の代表が参加した意見交換会も開かれましたが、「いかに出版界の規制が甘いか」ということを指弾するだけの会なんです。「映倫や放送番組向上機構はここまでやっているのに、出版界はどうなんだ」、という話になる。条例の改正案を通すための一方的な意見“交換”会ですよ。警察官僚の作戦勝ちですね。

――児童虐待や児童ポルノを取り締まれ、というのは確かに説得力がありますね。

山 子どもの人権を蹂躙して、金儲けの道具にすることはやってはいけない。ただ、現行の法律で取り締まることができるんです。児童買春・児童ポルノ処罰法などは非常に重い罰を課しています。ところが、被害者たる子どもをケアしたというケースが見あたらないのです。人権を守るための法律なのに、加害者は罰せられるが、被害者が救済されない不思議な法律です。さらに、マンガやアニメの場合は被害者が存在しない。児童ポルノ法にマンガやアニメを加えるかどうか、という議論が3年ごとの見直しでもあり、結果としてマンガやアニメは児童ポルノ法の対象外になってきました。これを形を変えて対象に含める、というのが今回の条例改正です。

――「刑罰法規に触れる性行為や近親婚、強姦などを不当に賛美・誇張」というのは、虚構の犯罪を現実の法で裁くともとれますね。

山 マンガの中の暴力とセックスが「不健全」と判定されたらすべてが否定されてしまう。これは環境浄化思想ですよ。青少年も浄化したいということでしょう。そういう統制思想があるんです。この改正案を厳密に適用すれば、竹宮惠子さんの『風と木の詩』だってだめになる可能性がある。都や改正賛成派の人たちは、「ちゃんと判断する」と言うが、マンガが理解できない人に判断できるのか、という運用上の不安があります。

――しかるべき第三者委員会にゆだねられるので大丈夫だ、という意見もあります。

山 現行の条例でも「不健全図書」を判断、審議するという第三者委員会があります。ところが、これらの委員会の決定は多数決ではないのです。ひとりでも「クロだ」と判断すれば「クロ」です。まったくマンガが理解できない人が委員になってしまうと、全部「クロ」にされてしまう危険性もあります。

――来年7月の施行までに何か対策はありますか。

山 新たに条例化された内容の解釈、運用に目を光らせていく、あるいは付帯条項をつけていくというやり方があります。たとえば、同じような法律があるほかの国では、必ず「芸術性・文化性・科学性に関するものは適用しない」という基準のようなものがあります。改正案にはそういうものがないのです。

(編注:12月13日の都議会総務委員会で可決された東京都青少年健全育成条例の改正案には、「創作した者が作品に表現した芸術性、社会性、学術性、諧 謔(かいぎゃく)的批判性等の趣旨を酌み取り、慎重に運用すること」「審議会の諮問にあたっては、検討時間の確保など適正な運用に努めること」と いう付帯決議が盛り込まれることになった。ただし、付帯決議には法的な拘束力はない)

――ダビデ像に褌をさせろ、みたいなことになりかねないわけですね。

山 このままでは、それが冗談ではなくなるかもしれないのですよ。

条例改正案が可決されたからもう終わりではなく、これからも息の長い対応を続けていかなければ、さらに重大な事態が起きる、と痛感させられた。このコーナーではさらに取材を進めていきたいと思う。
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by hidaneko | 2010-12-16 00:02 | うきよ | Trackback | Comments(2)
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Commented by g-san1101 at 2010-12-19 18:45
これについては私も私見があるのですが文にまとめるにいたっていません。
海老蔵ネタをあれだけ流した大メディアがそれほどこの件を取り上げないのかの不思議も感じております。
Commented by hidaneko at 2010-12-19 21:31
>g-sanさん

コメントありがとうございます。
わたしも、思いを文にするのが上手くなく、結局引用が多くなってしまいました。(魚拓を、という手もあったのですが…)

今日は、
「コメンテーターの山田五郎さんのポッドキャストでこの条文の奇妙な点が指摘されています」と教えてもらって、こちらを聞きました。なんと言ったらいいのか・・・
http://podcast.tbsradio.jp/dc/files/yamada20101216.mp3


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